現代社会の矛盾をえぐり、魂を浄化する涙の感動作 |
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罪のない子供たちを巻き込む痛ましい事件が多い現代社会。
奥田瑛ニの第3回監督作品『長い散歩』は、そんな時代にこそ必要な、心洗われる感動の名作である。個性派俳優として知られる奥田瑛二は、これまでにも『少女〜an adlescenent』(01)、『るにん』(04)と意欲的な監督作を発表してきたが、本作は日本人が本来持っている心の優しさや愛情、美しい情緒を描き出し、彼の映画作家としての確かな実力を世に示す魂のファンタジーである。 |
名優、緒形拳が演じる初老の男、松太郎。
彼は天使と出会い、旅に出る。
しかし、社会はそれを誘拐事件と看做した・・・。 |
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カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『楢山節考』(83)を初め、多くの出演作で日本アカデミー賞最優秀男優賞他、数々の賞を獲得している名優、緒形拳。『長い散歩』は、奥田監督が彼のために数年をかけて企画を温め、実現した作品である。
主人公の安田松太郎は、高校の校長を定年退職した厳格な教育者。しかし、幸せな家庭を築けず、アルコール依存症だった妻を亡くし、一人娘から憎しみをかっている。
人生に悔恨を背負ったそんな初老の男が、一人の天使に出会う。松太郎が移転したアパートの隣室に母親と二人で暮らしている5歳の少女。ボール紙で作った擦り切れた羽根をいつも背中につけた地上の天使は、母親に虐待され、誰にも心を開けなくなっていた。不幸な少女の名は、幸(サチ)。
松太郎はある日、幸を救い出し、一緒に旅に出る。行く先は、松太郎の遠い記憶のなかにある心のユートピア。青い空に白い雲がぽっかりと浮かび、大きな鳥が悠然と空を舞う、ある山の頂だった。
しかし、幸の母親は娘が誘拐されたと、警察に届け出る。捜査の網の目は次第に彼らを追い詰めていく・・・。 |
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2006/日本/136分/
アメリカン・ヴィスタ/ドルビーSR
製作:ゼロ・ピクチュアズ/大喜/朝日放送
配給:CKエンタテインメント
2006「長い散歩」製作委員会 |
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